てんとう虫は我々にとって身近な昆虫です。コウチュウ目に属し、カブトムシと近縁の昆虫で、公園などでよく見かけます。
越冬することで有名です。個体が集まって集団を作って寒い冬を越します。家の中でてんとう虫の塊を見つけてびっくりした経験を持つ方もいるでしょう。
虫の名前は、かぶと虫なら兜に似ているからなど、形から名付けられたものが多いのですが、てんとう虫という名前は、どういう経緯で名付けられたのでしょうか?
この記事では、てんとう虫の名前の由来や、ちょっとしたてんとう虫についての知識などを解説します。
てんとう虫の名前の由来
てんとう虫は、漢字にすると天道虫です。この天道は、お天道様、つまり太陽を意味します。
てんとう虫は、木の枝にとまると端まで歩き、先端部まで行くと飛び立つ、という行動パターンをとることが多く、その姿が太陽に向かって飛び立つように見えるので、天道虫と呼ばれるようになったそうです。
てんとう虫を触れる人なら、指にとまらせると、指の先端までとことこと歩き、先端に行くつくとしばらくして飛び立つ行動を見ることができます。
先端部に行ってから飛び立つまで、ちょっと間があるのですが、これが何か考え込んでいるように見えます。
死んだふりをするてんとう虫
てんとう虫は敵に襲われると、死んだふりをし、強いにおいと苦みのある体液を分泌します。てんとう虫の仲間はカラフルなものが多いのですが、これは敵に対しての警告、警戒色です。
このため、鳥などに捕食されるケースは他の昆虫比べて多くなく、天敵と呼べる生物は、寄生バチ、寄生バエなどに限られます。
世界を救ったてんとう虫
世界救った、というのは大げさですが。てんとう虫は世界の柑橘類栽培(みかんなどの栽培)を救った虫なのです。
イセリアカイガラムシというオーストラリア原産の昆虫がいます。この虫は柑橘類の樹木に寄生し、大きな被害を与えていました。
オーストラリアからの苗に付着して世界に広まったイセリアカイガラムシは、1860年代には北アメリカ大陸に上陸し、カリフォルニアのオレンジ栽培などに大打撃を与えていました。
この対策として、イセリアカイガラムシの天敵であるベダリアテントウを放すと、被害は激減しました。
日本でも1900年初頭に導入され、大きな効果を挙げました。この効果は100年を経た今でも継続しており、イセリアカイガラムシによる被害から柑橘類を守っています。
このてんとう虫のようなものを生物農薬といいます。イセリアカイガラムシに対するてんとう虫の導入は、世界初の生物農薬の成功例と言われています。
てんとう虫は益虫でもあるし害虫でもある
てんとう虫は種類の中で食べるものが大きく異なる種です。カイガラムシ、アブラムシを食べる昆虫食性をもつ種、うどんこ病の病原菌などを食べる菌食性の種の他に、ナス科の植物を食べる草食性もいます。
てんとう虫は、食性によって、人間の農業に益を与えることもあるし、害を与えることもあるという両面性を持った昆虫種です。
コメント