ウジ、虫、チーズ、この3つのキーワードから皆さんが想像するのは、「チーズを食べちゃう害虫がいるのか、ウジなのか・・・・」ではないかと思います。
ところがだいぶ違うんです。この記事は、ハエの幼虫であるウジの力を借りて作られるチーズのお話しです。
カール・マルツゥというチーズ
このチーズは、イタリアのサルディーニャ地方で作られるチーズです。ベースはペコリーノ・サルドというチーズです。
ペコリーノ・サルドにチーズバエをたからせ、卵を産み付けさせます。卵から孵化したウジは、このチーズを食べて成長します。
この幼虫の摂食行動によって、高いレベルの発酵が起き、脂肪分が幼虫によって分解されます。チーズはかなり柔らかくなり、食べ頃になるらしいです。味は絶品、赤ワインとの相性が抜群と言われています。
でも販売禁止
しかし、このチーズは現在は危険であるということで販売が禁止されています。
理由は、アレルギー反応が起きる可能性が考えられていることと、ウジが人間の体内に入った場合、腸管に住み着き、下痢などを引き起こすからと言われています。これらは蠅蛆症という疾患名がついています。
すぐに生命に危険が、というわけではありませんが、寄生という状態ですので、長期的には生命に危険を及ぼす症状になる可能性があります。
とはいえ、サルディーニャ地方の伝統チーズですので、こっそりと販売されているという話もあります。当然見つかればペナルティがあります。
チーズバエってどんな虫?
チーズバエは、カール・マルツゥを作り出すことから作られた名前なのか、チーズを好むからなのかは資料が見つかりませんでした。
このチーズバエの仲間は日本にも生息しています。現在は5種が知られており、動物の死骸などの腐肉を好むとされています。
幼虫はチーズの熟成に使われていますが、この幼虫は1mmくらいの大きさで、危険を感じると10 cmから20 cmも飛び跳ねるそうです。
カール・マルツゥを食べる時にはウジは生きている状態なので、ナイフやフォークを使うと、チーズから幼虫がぴょんぴょん飛んでくるということになります。
作り方の詳細
サルディーニャ地方で作られていた時の方法を解説します。
サルディーニャンヒツジと言われるヒツジの乳を使ってチーズを作ります。絞ったヒツジの乳に、ヒツジの胃から取れる酵素を混ぜます。この酵素はレンネットと呼ばれ、母乳の消化に必要な酵素です。
酵素によって固まったチーズを型に入れ、海水につけた後に低温で熟成させます。このまま熟成させて乾燥させると、ペコリーノ・サルドというチーズになります。
このチーズを放置しておくと、チーズバエがやってきて卵を産み付けます。その卵から孵化したウジがチーズをカール・マルツゥにします。
味はどうなの?
味はクリーミーで、ゴルゴンゾーラに似ているという人もいれば、スパイシーな感じがするという人もいます。
ウジは取ってしまう人とそのまま食べる人がいますが、そのまま食べた場合は、ウジはやや苦みを感じるそうです。
しかし、先にも書きましたがこのウジは胃酸では死にません。腸管まで行って、そこに寄生します。
このようなチーズには、他にダニの力を借りるミルベンケーゼというチーズがドイツにあります。ただし、ザクセンのある村だけで作られています。


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