食品管理、衛生管理が進んだ現代では、サナダムシに感染する事は遠い昔の事のように感じられるかもしれません。
ところが、サナダムシの感染は、少ないというわけではありません。現代の日本においても見られます。人間の身体から出てくるときには、口から出る場合、肛門から出る場合両方あります。
さて、このサナダムシ、名前は知られているのですが詳しい事は意外と知られていません。この記事ではサナダムシについて詳しく解説します。
サナダムシには数種類ある
サナダムシという名前でくくられる寄生虫は、大きく分けて3種類です。
まずは有鉤条虫、これはブタ、イノシシからヒトに感染して小腸に住み着きます。豚肉を十分火を通さずに食べたりすると感染リスクが上がります。脳に感染すると、神経嚢虫症を発症します。これは非常に重篤な症状です。
次に無鉤条虫、ウシからヒトに感染します。寄生場所は小腸です。感染したウシの肉を生で食べる、または加熱が不十分な肉を食べることで感染します。約60℃で加熱、またはマイナス5℃の保存によって死滅します。
最後に広節裂頭条虫、マス、サケなどの魚類からヒトに感染します。これまでに挙げたものと同様に、小腸に寄生します。ヒトの体内では、アレルギー反応を抑制する物質を分泌すると言われており、アレルギー症状の抑える効果があるとして、医学研究で注目されています。
これらは種は違いますが、サナダムシとしてまとめて呼ばれることが多いのですが、感染するもとが違います、また、カイチュウ(回虫)とは明らかに違いますので注意です。
サナダムシへの感染例は今でもある
サナダムシの感染の自覚症状は軽いため、気づかない人も多いようです。日本では古くから人に感染する事が知られています。
昔は、寸白(すばく)と言われ、徳川家康が感染していた事で有名です。家康というと、小太りの印象がありますが、それは歳を取ってからです。そこそこ若い頃は、寸白によって痩せ気味だったと言われています。実際、三方ヶ原の戦い直後に描かれた肖像画、しかみ像では痩せ気味の家康が描かれています。
昭和を経て平成になり、感染報告数はかなり減ってはいます。しかし、現在でも感染は報告されており、特に日本人のように生魚を食べる習慣のある民族では、感染リスクは高いといっていいでしょう。
現代の感染経路と対策
現代の感染経路は、昔と同様に肉、魚からの感染がありますが、その他にも現代らしい経路が出てきています。
まずは有機野菜の普及です。農薬を使わずに育てた野菜には、当然寄生虫の卵などが付着している可能性があります。これは火を通す調理などで感染を避ける事ができます。
そして、ペットの室内飼育が一般化された事による、ペットからの感染もあります。ぺってのフンなどに付着している卵が、何かのきっかけで飼い主の体内に入る可能性があります。
これについては、ペットに定期的に虫下しを飲ませて、体内の寄生虫を駆除する事で感染リスクを減らす事ができます。
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