人間は喜んだり怒ったり悲しんだり、いろいろと大変です。
犬や猫も、嬉しいとき、怒られてしょぼんとしているとき、機嫌の良いときなどは飼っているうちにわかってきます。
それでは、昆虫には感情があるのでしょうか?怒ったり、悲しんだりするのでしょうか?
感情の定義
感情を考えるとき、我々はどうしても人間目線で考えてしまいます。感情があるかどうかを考えるとき、どうしても我々が持つ喜怒哀楽をベースとして考えます。
喜、楽であれば笑う、哀であれば涙を流すなどを基準として考えてしまいますが、他の動物になると、それは異なってきます。
例えば、スズメバチは攻撃性が高く、巣に近寄ったりすると攻撃してきます。この攻撃をするという行動から、我々人間は、「スズメバチが怒って攻撃してくる」と考えます。
これは、「攻撃してくるという事は怒っているに違いない」という我々の経験から来る解釈です。
脳科学の分野では、感情は大脳皮質と脳の辺縁系、そして身体の応答の相互作用で成り立っている、と感情を定義しています。
哺乳類であれば、大脳辺縁系は構造的に人間と類似しているので、定義に沿った解釈がしやすいのですが、昆虫だとそうはいきません。
ポジティブ、ネガティブな行動は昆虫にもある
ミツバチの一種であるマルハナバチは、行動に悲観的な認知バイアスが存在するといわれています。このバイアスがかかっているハチは、行動がネガティブになると報告されています。
ネガティブな行動とは、エサに対してのアプローチが遅い、パニック状態に陥ると、なかなかパニック行動がおさまらない、を指しています。
その悲観的な状態のハチにエサを与えると、行動決定に変化が現れます。
人間の感情であれば、それは「喜ぶ」という表現になるのですが、マルハナバチの場合は、「エサに対しての行動が早くなる」「パニック状態からの復帰が早くなる」という行動上の変化が出てくるとのことです。
自分の「主観」で行動が決定される、ということは、つまりは「その行動は”感情”に支配されている」と言う事もできます。
感情と行動の関係
感情を考えるときに、我々はどうしても人間における感情を基準として、感情はこういうものだ、という判断をしてしまいます。
攻撃してくるスズメバチに怒りの感情がある、と我々が解釈するのは、人間が攻撃性を示すときには、怒りという感情が関連している事が多いからです。
しかし、果たしてスズメバチは怒っているのでしょうか?スズメバチの本能に、「巣に近づく動物を攻撃する」というものがあれば、スズメバチの「主観」に左右されず、スズメバチは攻撃行動をとります。
感情についての議論は感情の定義をきちんとしないと成り立たない
「感情」というものは、なかなか定義が難しいものです。人によって定義が微妙に違うので、緩徐について議論するときには、話し手の感情の定義、聞き手の感情の定義がはっきりしていないと議論は成立しません。
そもそも、我々は、「感情」や「こころ」を明確にできるほど脳を知っているわけではありません。今後、脳科学が進むにつれて、こういったことが定義しやすくなり、解釈も進んでいくと思われます。
コメント