蚊取線香は、明治時代に上山英一郎によって発明されて以来、長い間使われています。
使われるという事は効果があるという事なのですが、蚊取線香の成分って何なのか御存じですか?
この記事では蚊取線香の成分について詳しく解説します。
蚊取線香は何からできてる?
蚊取線香の一般的な成分は、タブ粉、デンプン、ピレスロイドの3つが基本です。
タブ粉は、クスノキ科の樹木であるタブノキから取れる物質です。デンプンと共に、蚊取線香を固めて、あの渦巻き状の形を作るために加えます。蚊取線香だけでなく、仏壇にあげる線香にも加えられている事があります。
そして、蚊に効果を発揮するのがピレスロイドという成分です。
ピレスロイドは除虫菊に含まれる成分で、昆虫からは虫類の神経細胞に対して毒性があります。しかし、哺乳類や鳥類には効果がないことから、昔から農薬に使われていました。
この効果に着目した上山英一郎が、明治時代に開発したのが蚊取線香です。
ピレスロイドってどんな物質?
蚊取線香に使われるピレスロイドは、昔は天然のピレスロイドが使われていました。
ピレスロイドはいくつかの物質の混合物を指す名前です。ピレトリン、シネリン、ジャスモリンなど、共通の構造を持つ物質の混合物がピレスロイドと呼ばれています。
しかし、天然のピレスロイドには欠点がありました。
天然のピレスロイドは、酸化されたり、光によって分解されるなどして、効果のある活性が長い時間持続しませんでした。
そのため、人工的にピレスロイドを合成する技術が開発され、現在、蚊取線香に使われているピレスロイドは、全て人工のピレスロイドと言ってよい状況です。
人工合成のピレスロイドは、ピレトリンなどの物質ではなく、アレスリンという物質から構成されています。
これによって、分解されて効果を発揮する時間が短い、という欠点が解消されました。
ピレスロイドの具体的な効果
人工のピレスロイドは、天然ピレスロイドと同様に、昆虫からは虫類までにしか効果を発揮しません。
ヒトなどの哺乳類には基本的に害はありませんので、犬、猫などの哺乳類をペットとしている家庭でも使う事ができます。
蚊などの昆虫に対しては、神経細胞に効果を発揮して駆除するのですが、人工ピレスロイドになってからはその効果が強化されています。
効果を発揮するまでの時間が短くなったという速効性です。これによって駆除効果が高くなりました。いまだに蚊取線香が使われ続けているのは、この速効性が大きな役割を果たしています。
さらに忌避効果もあります。つまり、蚊が嫌がる成分ですので、蚊取線香を使っている場所には蚊が嫌がって近づきません。
そして最後にフラッシングアウトという効果があります。これは追い出し効果と言われる効果です。
ピレスロイドが神経に作用する事によって、昆虫は一種の興奮状態になります。この状態になると、隠れているところから飛び出して、明るいところに行くという行動をとります。
明るいところに出てきた昆虫は、作用し続けるピレスロイドによってやがて死にます。
昆虫の死骸を見たくない、という方には迷惑な効果かもしれませんが、しがいをすぐに片付ける事ができるので、衛生環境には良い効果です。
まとめ
除虫菊から取り出した成分が蚊取線香に含まれている事を御存じの方は多いかもしれません。
しかし意外と知られていないのが、現在ではその物質を人工的に合成し、天然の物質の、欠点を解消している事です。
また、最近では蚊取線香独特のにおいではなく、別の香料を染みこませて、いい香りが出るように作られた蚊取線香もあります。
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