昆虫の蛹の中身、どうなってるの?

 

チョウやカブトムシ、昆虫の多くは幼虫から蛹になり、そして成虫になります。

 

蛹の中で変身して、チョウ、カブトムシになる事は知っている人が多いと思いますが、蛹の中身はどうなっているのでしょうか?

 

蛹の中で成虫の形が作られるのは想像できますが、蛹の中で何が起こっているかはなかなか知ることができません。

 

蛹の中身を見ようと、蛹をハサミで切ってみたりするなどという行為は、よほどの勇気が必要ですよね。

 

この記事では、蛹の中はどうなっているか?何が起きているか?を解説します。

 


 

 

幼虫の組織・器官は蛹の中で壊れる

幼虫は、消化器官、筋肉を持っています。その幼虫が蛹になると、幼虫の消化器官、筋肉はそれらを構成する細胞が死ぬことで壊れてしまいます。。

 

この細胞死は、予めプログラムされたもので、予定細胞死と言われています。

 

細胞が死ぬと、その細胞を作っていたタンパク質が再利用されます。蛹はエサを食べません、そのため、新しい組織を作るためには古い組織を分解してタンパク質を再利用するのが最も効率的なのです。

 

幼虫の組織のほとんどが壊れると、蛹の中はドロドロの液で満たされている状態になっています。

 

しかし、幼虫の体の中で、壊れずに残っている部分があります。それは、神経の一部、呼吸器、そして成虫原基と呼ばれる部分です。

 

呼吸器は気管と呼ばれる管です。これは蛹になって1日目にすでに成虫用の気管に作りかえられています。

 

羽根などの原型を幼虫は持っている

成虫原基とは何でしょうか?聞いたことのある方はほとどんいらっしゃらないかもしれません。

 

幼虫は羽根を持っていません。が、実は羽になるための細胞の塊は持っています。他にも、成虫の体になる元となる細胞の塊を幼虫は持っています。これを成虫原基と呼んでいます。

 

成虫原基はドロドロの蛹の中で、自分がいるべきポジションに収まります。そして、死んだ細胞のタンパク質を再利用しながら徐々に成虫の体を作っていきます。

 

なぜ正しいポジションがわかるのか?ですが、幼虫時代から残っている神経の一部が目印になっているという説があります。しかし正確なことはわかっていません。

 

徐々に成虫の形が作られていく

昆虫の種類によって、蛹でいる期間は違いますが、後半になると段々成虫の体ができあがってきます。

 

カブトムシは蛹の後期になると、成虫の形がそのまま現れます。しかし、蛹の形がそのまま成虫の形をしている昆虫ばかりではありません。例えばチョウやガなどは大きな羽を持っていますが、蛹には当然羽がありません。

 

蛹の中で羽は折りたたまれた形で作られます。そして蛹から羽化(蛹からの脱皮とも言います)すると、羽に体液が送り込まれ、水圧で羽が広がります。

 

下の写真は、羽化したモンシロチョウです。羽に体液が送り込まれ少しずつ開き始めた段階です。

 

そして羽が固まる(乾くという表現を使うこともあります)と、飛び立ちます。

 

幼虫の中身がドロドロであることは昔から知られていましたが、最近は画像解析技術の発展で、中に何があるのかが具体的にわかるようになりました。

 

最近では、これらをヒントに人間の組織再生のためのヒントが得られないかと研究しているチームが世界にいくつかあります。

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